法人設立ワンストップサービスでオンライン手続きが可能です

(2021/3/18)

新型コロナウイルスの感染状況はまだまだ厳しいものがありますが、そんな中でも新しい法人は日々設立されています。法人を設立したら行わなければならない手続きがいくつかあるのですが、なるべく外出しないで手続き出来たらいいですよね。窓口で必要書類を聞きながら作成した方が安全と考える人も多いですが、そこまで難しい書類じゃない場合には自分で自宅や会社からやるのも一つの方法です。

 

法人設立ワンストップセンターって何?

簡単に言うと法人設立に必要な手続きをオンラインで一度にできるというサービスです。内閣府が行なっているサービスで無料です。国がやっているものなので基本的には安心ですね。ちなみに「ワンストップ」というのはバラバラではなく一度にできるといった意味です。サイトはこちら

 

必要なもの

会社の代表(社長)個人のマイナンバーカードが必要になります。マイナンバーの番号自体ではなく物理カード(通知書ではなくプラスチックのカード)が必要になります。取得していない場合にはまず取得しましょう。また、パソコンから手続きする場合にはICカードリーダーが必要になります。以下のようなものですね。

なお、マイナンバーの読み取りができるスマートフォンであれば、ICカードリーダーは必要ありません。

 

可能な手続き

次のような手続きができます。会社を作ったら(作るときに)やらないといけない手続きです。

  • 定款認証、設立登記
  • 税金に関する届出
  • 社会保険に関する届出

 

税金に関する提出書類

税金に関する手続きとしては次のような書類の提出が可能です。

税務署等に提出する手続きもほぼ全てがカバーされていてそれはそれで良いのですが、提出する必要のない書類も多いのでどれを提出したらいいのか迷ってしまう人もいそうです。そこで、大抵の中小企業が提出するであろう書類を確認したいと思います。

 

  • 1 法人設立届出→法人を設立したことを税務署に報告する基本的な書類なので必ず提出します。なお、都道府県と市町村にもほぼ内容の書類を提出します。全てワンストップセンターで手続き可能です。

 

  • 3 青色申告の承認申請→青色申告という確定申告の方法があるのですが、法人の場合ほぼ100%青色申告をするということになりますので、忘れずに提出しましょう。青色申告の他に白色申告というのがあるのですが、青色申告の方が有利な申告方法なので、とりあえずこの申請書は提出しましょう。なお、提出期限が決まっていて忘れると大変なことになる可能性があるので、法人を設立したらすぐに提出しましょう。この申請書は最も重要と言っていいものです。

 

  • 13 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出→自分に役員報酬を払う場合や従業員に給料を支払う場合に提出するものです。

 

  • 14 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請→会社が払う給料からはいろんなものが天引きされることはご存知かと思いますが、その中に源泉所得税というものがあります。引かれた源泉所得税をどうするのかというと会社が税務署に支払うことになります。その際、従業員が10人未満の小規模な会社の場合には何ヶ月分かをまとめて後払いできるという特別なルールがあります。そのルールを適用するために提出する書類です。提出して損するものではないのでとりあえず出しておきましょう。

 

他にも提出した方が良い書類はありますが、会社の状況によって異なるので、とりあえずは上に記載した書類は最低限出しておきましょう。消費税関係の書類は内容をよく知らずに提出すると大変なことになるかもしれませんので注意が必要です。

 

法人設立ワンストップサービスの使い勝手は?

試しに税金の手続きのみをしてみようとしたのですが、思ったよりも大変かもしれません。というのも、会社名といったどの書類にも共通する基本情報はいいのですが、提出する書類ごとに入力が必要な項目もそれなりに多いからです。税務署の書類に加えて社会保険の手続きも追加したら入力する項目はかなり多くなるのではないかと思います。書類の入力項目も(悪い意味で?)網羅性が高く、空欄にしても全く問題ない項目も多いのですが、どの項目を空欄にしていいのか、どの項目は入力しないといけないのかをひとつひとつ判断するのは難しいのではないかと思います。

(余談ですが、サイトにはQ&A方式の問診というものがあり、それに答えることで必要な書類がリストアップされることになるのですが、この方法で実際の書類の入力もできればよかったのではないかと思います。)

 

総評

税金関係の書類に関して言うと、想定している利用者のイメージがあまりできないかなと感じました。どのような書類を提出したらいいか理解できている場合には問題ないですが、そうでない場合には(サイトに説明はあるものの)少しリスクがあります(特に消費税関係の書類)。また、会社の確定申告もゆくゆくは当然必要になるのですが、その際には税理士や会計士に依頼するのが普通です。それであれば最初から会社設立時の届出書類の作成も税理士や会計士に依頼しておけばいいと思います。会社設立時に提出する書類によって税金が多くなったり少なくなったりすることもあるので最初から専門家に依頼する方が安心です(会社設立時の書類を別料金で請求している会計事務所はあんまりないと思いますので、その場合は依頼した方が得です)。

ただ、手続きのオンライン化についてはもちろん賛成なのでもっと使いやすくなるといいですね。