2021年4月1日から消費税を含んだ価格の表示が義務化されます

(2021/3/16)

 

4月1日から店に表示する値札などの金額には消費税を含めた金額を表示しなければならなくなりました。買い物をするときは、当然値札を見てから買うかどうかを決めると思いますが、今回の総額表示義務により一見値上げしたかのように思ってしまうかもしれませんがそうではありません。レジで支払うお金には当然消費税が含まれることになるのですが、その金額と同じ金額を値札でも表示しておきましょうというだけの話です。個人的にはわかりやすくなって良いのではないかと思っています。

 

税込価格表示(総額表示義務)って?

日本にはいろんな税がありますけど、この場合の「税込」というのは「消費税が込み」であるということです。みんな知っていると思いますが、店で何か商品を買う場合には10%の消費税が加算されています。1000円の商品なら1100円払うということです。今までは商品代金1000円(税抜)といったような値札を貼っておいてレジで1100円請求しても何も問題なかったんですが、4月からは最初から値札に1100円と表示しておかないとダメですよ、ということになります。値札だけではなくてチラシやメニュー表、広告でも税込で表示しないといけないことになります。ただし、世の中のあらゆる商品・サービスについて税込にしないといけないのかというとそうではありません。消費者が利用する店とかだけです。つまり業者同士のやりとりの場合には総額表示の義務はありません。

 

なんでそんなことするの?

総額表示を義務化するのは「いくら払うのかをわかりやすくするため」です。レジに行ってから払う金額の多さ(?)にびっくりした人もいるのではないでしょうか。私はあります。店でいろんなものを買うときに商品を手に取るたびに頭の中で足し算をしていたのですが、税抜であることを踏まえる必要があるので、「商品A×10%+商品B×10%、商品C×10%…」と計算していました。軽減税率もあるのでさらにややこしいです。店としては例えば税抜価格で2980円と表示しておいて、レジでは3278円を請求することにしておきたかったと思います。一見安いように見えますから。でも実際に支払う金額を前もって表示している方が親切ですよね。居酒屋でお通しがいつの間にか請求されていることに疑問を感じたことがある人ならわかってもらえると思います。

 

実際にどういうふうに表示するの?

税込で表示さえできていれば基本的にはOKなので、いくつか方法があります。例えば次のような方法があります。

  • 3278円(税込)
  • 3278円(税298円)
  • 2980円(税込3278円)

見にくかったらダメなので例えば3番目の例で税込3278円をすごく小さく表示しているとダメです。

 

軽減税率があると…?

食料品等のテイクアウトは8%、店内なら10%といったように同じ商品でも金額が異なる場合があります。その時はどのように税込表示したらいいのか迷うかもしれません。両方表示できるならそれで何も問題ないんですが、値札やメニュー表がちょっと見にくくなることもありそうです。その場合、10%か8%のどちらかの表示でも問題ないようです。今回の義務化は、「価格が決まっている場合に税込表示する」ことが義務付けられているので、テイクアウトか店内かで金額が変わる場合は多少柔軟に対応することになります。そうなると、少しでも安く見せたいと思うのが店側の事情ですから、10%よりも8%で表示したいと考える可能性もあります。コンビニとかのテイクアウトの割合が多いであろう店の場合にはそれでもいいでしょうけど、店内飲食の設備がしっかりしている店が8%と表示するのは問題がありそうです。実際、8%で表示しておいて10%で請求するとクレームもありそうなのであまりやらないと思いますが…。

 

値引きはどうするの?

スーパーの惣菜は10%引きや20円引きなどのシールを貼ることもありますが、この場合は総額表示義務はないとされています。

 

100円ショップは110円ショップになる?

100円ショップは名称なので総額表示に変えないといけないことはないようです。ただし店内で表示する金額は税込で表示する必要があります。

 

免税事業者は総額表示義務があるの?

事業をされている方には消費税の確定申告をしている人としていない人がいます。していない人は免税事業者といいますが、その方の場合は総額表示義務はどうなるのでしょうか。実際は免税事業者であっても税込価格の表示をする必要があります。ウチは免税事業者だから商品に消費税を上乗せしていないよ、っていう人も税込価格の表示が必要です。じゃあ、今の商品価格に10%を加えないといけないのかというとそういうわけではありません(そうしてもいいです)。免税事業者の100円ショップが消費税を加えずに100円で商品を売っているとして、その場合には今まで通り100円で商品を売っても構いません。わかりやすく100円(税込)と表示しているといいと思います。

ちなみにちょっと別の話ですが、免税事業者は消費税を上乗せしていいのかということについて疑問に思って質問される方がいらっしゃいます。答えとしては上乗せしても問題ありません。ただし、2023年10月からインボイス制度というのが始まるのですが、それが始まると免税事業者が消費税を請求することで問題になる可能性があります(問題にならない人もいます)。

 

おわりに

ルール的には難しいことはなく、価格もわかりやすくなるので、基本的には税込表示の義務化は消費者にとって良いことだと思います。でも対応しないといけない店側は大変ですね。特に本屋などは「本体2,000+税」みたいな表示が一般的なので、それらを総額表示にするのは手間がかかりそうです(ガイドラインが作成されており、さまざま方法が検討されています)。そんな中、ユニクロは本体価格をそのまま税込価格にすることにしました。単純に全商品を値下げすることになるのですごいですね。