インボイス制度開始後(2023年10月1日開始)請求書や領収書などの経費(費用)の資料について

(2023/8/30)

インボイス制度の開始により、経費(費用)の書類についていくつか注意すべき点があります。なお、「簡易課税制度」または「2割特例」の適用がある年度については経費(費用)の資料を使用しないことがほとんどなので基本的にはこの資料に記載の項目は当てはまりません(これは消費税に関することなので所得税や法人税の確定申告に費用の資料は当然必要です)。また、あらゆる事例について詳細を記載するのは困難ですので、主なものについて記載しています(情報は2023年8月30日確認時点のものです)。また、ルールは改正等により変更になる可能性がありますので、下記の国税庁のホームページなども併せて確認することをおすすめします。

参考情報

国税庁のQ&A

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm

国税庁の最新情報、概要他

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

  1. 2023年10月1日以降の経費(費用)の取引について、取引先が適格請求書発行事業者の場合には「登録番号」などの記載がある適格請求書(インボイス)が必要になります。適格請求書(インボイス)は、請求書という名称だけではなく領収書やレシートも含みます。
  2. 貴社が受け取る適格請求書(インボイス)には、次の項目が記載されている必要があります。
    • 請求書を発行する事業者の氏名・名称
    • その事業者の適格請求書(インボイス)の登録番号
    • 取引年月日
    • 取引内容(軽減税率が適用される場合はその旨)
    • 税抜(または税込)の取引金額を8%と10%の税率ごとに区分した合計額
    • その合計額に対する8%と10%の税率ごとの消費税額
    • 請求書の受領者の氏名・名称(貴社の名称)
  3. 消費税の納税が免除されている小規模事業者(フリーランスなど。免税事業者と言います。)は適格請求書(インボイス)が発行できません。その場合、通常の請求書等をこれまで通り受領することで構いません。ただし、貴社の消費税の計算上、不利な扱いをしないといけなくなります。具体的には次のような扱いをすることになります。
    • 2023年10月から2026年9月まで→消費税額のうち、20%が控除できません(消費税の納税額から差し引けません)。
    • 2026年10月から2029年9月まで→消費税額のうち、50%が控除できません。
    • 2029年10月から→消費税額のうち、100%(全額)が控除できません。
  4. 適格請求書(インボイス)には、その書類を受け取る貴社の名称が記載されている必要がありますが、小売業(コンビニなど)、飲食店業(レストランなど)、タクシー業などのような不特定多数を相手に取引を行う事業者からもらうレシート等の書類については貴社の名称は記載されている必要はありません。つまり、コンビニなどでもらうレシートはそのままで大丈夫です。
  5. 小売店や飲食店等以外の適格請求書(インボイス)には貴社の名称が記載されている必要があります。ただ、役員や従業員が費用を立替えた場合には会社名ではなくその立替えた人の氏名が記載されてしまっていることがあります。その場合には、適格請求書(インボイス)の記載の要件を満たさなくなってしまうので、別途社内文書として「立替金精算書等」の書類の作成が必要です。「立替金精算書等」には一般的な経費精算書類の形式に加え、「貴社宛の書類(社名を記載)」であることが記載されている必要があります。従って、書類作成の手間を考えると適格請求書(インボイス)は極力貴社の名称で受け取る方が良いです。個人事業の場合には、自分以外の誰かに立替をしてもらった時に作成が必要になります。
  6. 3万円未満の公共交通機関(電車やバスなど)の利用については適格請求書(インボイス)の(鉄道会社等の)交付義務が免除されているため、領収書等を受け取らなくても問題ありません。なお、3万円未満かどうかは一人当たりではなく一回の取引当たりで判断します。例えば4人分の交通費が3万円以上になった場合には適格請求書(インボイス)が必要です。
  7. 従来、消費税のルール上、3万円未満の取引については請求書等の保存は必要ありませんでしたが、インボイス制度の開始によりこのルールは廃止されました(上記の公共交通機関のルールはあります)。
  8. 2年前の年度(基準期間)の売上が1億円以下、または、直前の年度の最初の6か月間(特定期間)の売上が5000万円以下、の場合には、税込1万円未満の取引については適格請求書(インボイス)を受け取らなくても消費税の控除は認められます。ただし、2023年10月から2029年9月までの期間のみの特別な措置です。また、所得税や法人税の確定申告のこともあるので、税込1万円未満の取引であっても原則的に書類は保存するようにしてください。
  9. 事務所の家賃などを口座振替により毎月支払っている場合には通常は毎月請求書をもらうことはないと思います。その場合には適格請求書(インボイス)がもらえないことになってしまうので、別途登録番号などの適格請求書(インボイス)の必要事項が記載された書類を取引先と作成をする必要があります。
  10. 貴社が古物の営業を行う事業者である場合には、古物の買取について、次のルールが適用されます。
    • 買取の相手が適格請求書(インボイス)を発行できる事業者である場合には、適格請求書(インボイス)を受け取ってください。
    • 買取の相手がそれ以外(消費者など)の場合には、その方の住所と氏名を記録した「古物営業で請求書等の受領が困難であった人のリスト」を作成しておいてください。
  11. 適格請求書(インボイス)は手書きのものやデータのもの(PDFなど)も認められています。